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10シリーズの流れ(前半)

Pilates Expansion 10series(ピラティスエクスパンション10シリーズ)は、全10回で、心身をより快適な状態に変容させていくために構成されています。体力に自信がある人もない人も、まずは第1ステージから始めてください。はじめに大まかに全10回の流れを確認していきますが、各ステージには「(その回の)テーマ」「(利用する)身体のしくみ」「(その回で学ぶ)セルフリリース」「(その回の)ゴールとなるエクササイズ」があります。この記事の見方を、まず簡単に解説します。

【第○ステージ】
テーマ:○□○○△○□○
身体のしくみ:○△○○□○△○、○○○△○、○△○○△○○○
セルフリリース:△○○、○□△
ゴールとなるエクササイズ:○○○○△○

■テーマとは
各ステージごとに、テーマを決めています。テーマにつながるような感覚が得られていることを、ステージをクリアしたかどうかの目安にしてください。例えば、第1ステージと第2ステージでいえば、「しっかりと立つことが出来ている」「すっきりと立てている」「楽に立てている」「どっしりと立てている」ような感覚。あるいは「脚が長くなった感じがする」などかもしれません。下半身のつながりやバランスの変化によって、「腰が楽な感じがする」とか「気分の落ち着きが感じられる」という人もいるかもしれません。身体の状態も人それぞれですし、感覚の捉え方も人それぞれなので、繰り返しになりますが、あくまでも目安としておいてください。テーマとつながっていなくても、取り組む中でいろいろな気づきがあると思います。それも身体感覚を旅する上での素晴らしい発見です。

■身体のしくみとは
身体の中に存在している原理原則(法則)を、Pilates Expansion 10series(ピラティスエクスパンション10シリーズ)では利用していきます。例えば、息を吸ったときに私たちの背骨は少し伸張(長く)なります。骨と聞くと形が変わらないと感じるかもしれませんが、背骨はたくさんの椎骨と呼ばれる骨がつらなって出来ていて、1本1本の椎骨の間には、椎間板と呼ばれるスポンジ状の繊維軟骨が存在しています。実は、この椎間板の長さが呼吸と共に微細な変化しているのです。この原理原則を、エロンゲーション(脊柱の伸張反応)と言います。他にもたくさんの原理原則が身体の中には存在していて、これらの変化を利用することで、私たちの動きの可能性をより引き出していきます。

■セルフリリースとは
セルフリリースとは、自分自身で感じる痛みや違和感を、自分自身で、あるいは道具などを使って軽減するテクニックの総称です。痛みや違和感は身体から発せられるサインのようなもので、過剰な緊張状態によってそのサインが引き起こされていることがほとんどです。過剰な緊張状態から、身体を解放していくセルフリリースは、普段の生活の中で習慣として使っていくことができます。歯磨きのようなものです。セルフリリースを習得して、生活の中に取り入れていくことで、自分で自分をいたわったり、自分の身体とよりていねいに関わっていくことが日々の生活の中で無理なくできるようになっていきます。

■ゴールとなるエクササイズ
各ステージではいくつかのエクササイズを行ないます。1つ1つのエクササイズを行ない、その経験を積み上げていくことで、最終的に各回のゴールとなるエクササイズにチャレンジしていきます。すぐにゴールとなるエクササイズに取り組むと感覚を見失ってしまったり、動きそのものがうまくできなかったりするかもしれません。ですが、身体のしくみを利用し、セルフリリースによって身体の過緊張を取り除き、また1つ1つのエクササイズを行なっていくことで、それらも出来るようになっていきます。ゴールしたかどうかは、繰り返しになりますが、エクササイズを終えたあとの私たちの感覚です。

記事の見方が確認できたところで、それでは、実際に最初のステージの紹介をします。

【第1ステージ】
テーマ:下半身のつながりをつくる(体幹と下肢の連結)
身体のしくみ:リブコントロール(ロウアー)
セルフリリース:足部、骨盤帯
ゴールとなるエクササイズ:ニーステアリング

【第2ステージ】
テーマ:下半身のバランスを整える(下肢による体幹の支持)
身体のしくみ:リブコントロール(ロウアー)、アーティキュレーション、コアコントロール
セルフリリース:下腿(ふくらはぎ)
ゴールとなるエクササイズ:ヒップロール

最初の2ステージでは、胴体と下半身をつなぐ股関節に着目していきます。自分の股関節がどこにあるのかについて、理解を深めていきます。骨格模型を見たり、また動きを通じて体感覚で馴染みのなかった身体の各部位へのイメージが明確になっていきます。漠然と使っていた股関節を、動きの質を意識して動かし、股関節の位置とその動き、機能を少しずつ理解していきます。その小さな理解によって、私たちの身体は大きく変化していきます。その変化は、Pilates Expansion 10series(ピラティスエクスパンション10シリーズ)の各回それぞれで、誰もが感じられます。

また足(足首から先)、ふくらはぎや脛の部分(膝から先)に対してのセルフリリース方法を学んでいきます。第1ステージで習得する足をリリースするテクニック「フットリリース」は、もっとも重要なリリース方法の1つです。重要な理由はいくつかありますが、その1つが私たちが歩き続けるということです。足の緊張が解放され本来の状態に近づけば近づくほど、私たちは快適に立ったり、歩けたりできるようになります。

Pilates Expansion 10series(ピラティスエクスパンション10シリーズ)は自分の身体についての理解を深める、身体の各部位のイメージをより明確にしていく学びの要素と、同時に自分の身体の過緊張を軽減していく、ヒーリング(癒し)の要素が含まれたトレーニング(鍛錬)になります。トレーニングなので、過緊張を起こしてしまう原因にもなっている弱い部位は強化されていくことになります。3つの要素が、すべてのステージにそれぞれ含まれています。

【第3ステージ】
テーマ:頭のより良い位置をみつける(頭部と体幹の連結)
身体のしくみ:アーティキュレーション、エロンゲーション、コアコントロール、ブリージング
セルフリリース:頭頸部1、胸部、肋骨側部
ゴールとなるエクササイズ:チェストリフト

【第4ステージ】
テーマ:首や肩を楽に頭を持ち上げる(体幹による頭部の挙上)
身体のしくみ:エロンゲーション、アーティキュレーション
セルフリリース:大腿部前面(大腿四頭筋)、大腿部内側(内転筋)、大腿部外側(腸脛靭帯)
ゴールとなるエクササイズ:ハンドレッド

まず、頭の重さは私たちが想像しているよりも重たいことを知っておいていただく必要があります。頭の重さは、約5~6kg。かなりの重さを首で支えているということになります。身近なもので同じぐらいの重さのものを想像してみてください。その重さを首という腰などに比べると随分と細い部分で、私たちは支えて生活をしています。仰向けで寝たり、横になると私たちはそれまで支えていた頭の重さから解放されてリラックスできるのは、それまでの間、首周りの筋肉が緊張していたとも考えられます。私たちが「肩がこる」と表現する痛みや違和感は、実際には肩ではなく、首や首周辺の過緊張が原因だということが少なくありません。頭の位置がより良い位置になればなるほど、横になって頭の重さから解放されたリラックスした感覚と同じような状態で、快適に日々の生活を送ることができます。

頭の位置をより良くしていくことが、第3ステージと第4ステージのテーマになります。頭と首をつなぐ関節の状態をより良くしたり、頭の正しい動かし方を動きを通して学び、理解を深めていきます。また頭を持ち上げる動作を首だけで行なわず、より強い体幹部分、コアマッスルが使えるようになる必要があります。それらをトレーニングを通じて学び、強化していきます。

首のエリアをセルフリリースする方法も学びますが、呼吸にも影響する胸や脇のあたりについても学んでいきます。胸周りの息苦しさ、詰まった感覚がある場合や、肩こりを感じる場合などにとても活用できます。太腿(ふともも)のエリアに対しても解放する方法を学びます。脚がむくんだ感じがする、突っ張った感じがする、長く立っているとこの部分に倦怠感を強く感じる場合は、太腿(ふともも)周辺が過緊張している可能性があります。この部分の筋肉がリラックスすることですらっとした脚になった感じがしたり、すっきりと気持ちよく立つことができるようになります。

 

ここまで、第1ステージから第4ステージまでの流れを確認していきました。「初めて歩きだした子供がおこなっているように、この身体には驚くべき特徴があります。上半身は、両足がどのくらい地面をけっているかに連動してポジションが決まります。」とエクスパンショナルバランスという概念を提唱しているエドワード・モーピン博士も著書(「重力とのダイナミックな関係性」)の中で述べています。Pilates Expansion 10series(ピラティスエクスパンション10シリーズ)でも、「両足がどのくらい地面をけっているか」を重要視しています。つまり、下半身の状態は、下半身だけではなく、上半身にも大きな影響を与えているということです。肩こりがつらくてマッサージ屋に通っても、また元に戻ってしまう原因の1つは、下半身の状態にあるのです。10シリーズの前半では、ですからより下半身に焦点を当てていきました。ここまでのステージがクリアできたら、かなり身体の変化に手ごたえを感じられていると思います。後半ではより全身を統合していくプロセスに入っていきます。